東京モーターショーでバイク初となるPCXハイブリッドが発表されました。バイクにハイブリッドは本当に必要なのか違和感を覚えた方も少なくないと思います。開発者インタビューによればバイクのハイブリッドは車でいう燃費を求めたシステムとは全く別で走りを追求したコンセプトで設計されているようです。
PCX ハイブリッドの外観
本体価格予想は40~45万円となっており、ガソリンモデルとの価格差は約10万円です。ヘッドライトやリアライトは新しいものとなりシャープな印象に変わりました。市販予定車としておりこのまま登場となれば、一目で違いが分かるデザインとなります。
リアビューは消灯時に薄暗いブルーとなり、LEDの発光を直接感じることのない配光パターンは最近の流行りをしっかり押さえています。
シート下には駆動バッテリー用とみられるスペースが確保されています。ガソリンモデルと比較するとグローブの収納スペースは無くなり小さくなっています。
専用設計のメーターには「D」モードの表示があります。走行モードの切り替えはハンドル左にあるスイッチで行うことができ、どんなモードがあるかはまだ不明です。メーター内にはハイブリッドで特徴的なモーターの「チャージ/アシスト」が視覚的にわかるように表示されています。
海外モデルでは以前から話題となっていたスマートキーを、遂に国内モデルへ投入されそうです。キーレスとなればキーを挿しっぱなしにする心配も無くなります。
見た目だけじゃない!走行性能を向上させるハイブリッド技術
開発者である大森氏はPCXハイブリッドの位置づけを、モーターのアシストにより小排気量エンジンをより俊敏でパワフルなレスポンスとなるよう設計したとのことです。従来のCVTではスロットル操作からエンジンのレスポンスに微妙な間が生じますが、モーターの応答によって直感的な加速を体感できるように調整をされたようです。
アイドリングストップも、ハイブリッドを活かした改良がされてます。エンジン停止から再スタートまでの時間を短縮し、モーターによるアシストでスタート時の反応性を高めています。
動力性能は2~3割程度のトルクの向上を見込んでおり、このクラスでは大幅なエンジンパワーの増加と言えます。市販化されガソリンモデルと走り比べるとハイブリッド一択となってしまうのかもしれませんw また足回りはフロント、リアタイヤ共にサイズアップし、ミシュランのシティグリップを新しく採用しています。サスペンションの見直しやシートの乗り心地などあらゆる面で進化しているようです。
車のような燃費追求のコンセプトなら確実に失望してた!?
歴代でPCXの実燃費は40km/lを超えており、これくらい良好な数字だと仮に10km/燃費が改善したとしてもコスパは確実に不利になってしまいます。購入にあたりバイクではこの価格差(ハイブリッドを導入するコスト)は大きな存在です。
クルマでハイブリッドについて言及した記事ですが、バイクの燃費計算では非現実的な数字が出てきます。
仮にガソリン単価が150円と想定した場合、PCXの実燃費がガソリンで40km/l、ハイブリッドが50km/lとすると10,000km走行して燃料比の差が7,500円となります。本体の価格差10万円を埋めようと10万km走ってもまだ足りないことになります。
駆動用バッテリーがずっと使えるとは考えられないし、バッテリー交換のために定期的な支出を考えると維持費は高騰してしまいます。PCXの場合、ハイブリッドは燃費改善でなく動力性能を向上する目的で搭載しているため、ターボのような存在と考えた方が適切かもしれません。
購入したユーザーは後々メンテで負担する必要があるためハイブリッドにかかるコストは決して軽視することはできません。今後ハイブリッドモデルのラインアップが増え、どのようになっていくのかはまだ予測が立たないです。正式に発表を受け販売開始されるのを楽しみに待つだけです。